新着食財情報

越智今治農協 甘とう美人

作り手自身が「美味い」と実感することで地域に広がった新しい切り札!

ハウスで丁寧に育てられる、箱入り娘?の「甘とう美人」。

近畿地方や中京の一部では古い時代から栽培され、見慣れた存在であるこの野菜。愛媛ではまだまだ身近にあるとは言いがたい新顔ですが、これは伝統的な「京野菜」として知られる「万願寺とうがらし」の血を引く「甘とう美人(あまとうびじん)」です。
「京野菜」として有名な万願寺とうがらしは、肉厚で長さも15センチほどある大型のししとう状の野菜。見た目よりもはるかに食べやすいことで、同様のものが全国各地で作られていますが、ほとんどが農家個人で試作するレベル。産地として取り組んでいるケースはまだまだ少ないようです。
越智今治農協では、大西、野間、玉川町を中心に約10年ほど前から部会としてこの「甘とう美人」に取り組み、栽培と販促に力を入れています。本家でもある京都に近い大阪の市場では高評価を得て、出荷量の多くが関西方面です。
ハウス内にはツヤツヤと輝く「甘とう美人」が鈴なり!すがすがしい独特の「野菜臭」が漂い、畑全体から鮮度が伝わってくるような印象です。

 

ピーマンをはじめとする様々な野菜栽培の技術を元に確立した栽培方法。

きゅうり、ピーマンの他、露地アスパラや摘み取りシュンギクなど、県内ではあまり普及していない品目を定着させ産地化してきた中で、これまで全く栽培例が無かった「唐辛子系のししとう」を「ハウスで栽培する」という新しい挑戦をした桑田さん。新しい何かへの好奇心から試験的に作ってみたところ、想像以上に味がよく、「面白い!」と実感したことで、地元の仲間にも勧めて栽培を拡大してきたのだそう。
とはいえ、ハウス内での栽培は様々な障害を生む連作となる上に、湿度が高いことでただでさえ病害に弱いししとう系に新たな病虫害も発生しました。また夏季の高温対策も不可欠となりましたが、長年培ったピーマンの栽培技術を応用したり、農協や部会員たちとの連携により、一つ一つ問題を解決して「甘とう美人部会」が誕生するほどにまで成長しました。
独自の剪定法に加えて、通常は横張りにするネットを縦に張って整枝・着果管理するなど、個性的な工夫が見られることからも部会員の熱意が伝わります。

好奇心?遊び心?若手が育つ貴重な環境でチャレンジを楽しむ。

ピーマン部会の若手同士のブラッシュアップによって生まれた「甘とう美人部会」。全国的にも新規品目の栽培や部会の成立は珍しく、部会員それぞれの好奇心や熱意が集結したことによる成功と言えます。
ピーマン価格が安定しないという状況はあったものの、当初から部会化や産地化を想定していたわけではなく、自分たちが「美味しい!面白い!」と思えるものを作り始めた結果でした。部会自らが大阪方面での試食PR会を実施するなど、積極的な販促への参加も、「自信を持って美味しいと言えるから」に他ならないのです。
俗に「あたり」とも言われる辛味の強い果実が発生しないよう、蒼社川の水をこまめに灌水し、有機肥料による安定した樹勢管理で「ストレスを与えない栽培」を徹底。こまめな収穫作業を重ねることで、辛味があるかどうかを見ただけで判断できるほどの目利きを兼ね備えた生産者ばかりです。
部会長の桑田さんは議員を務めたこともあり、明るく朗らかで世話好きなことで知られます。「まだ若い農協職員や後継者らとともに、新しい産地作りを積極的に牽引したい」とのことです。

 

現在は今治市となった、旧越智郡玉川町。のんびりとした中山間地は、玉川ダムから蒼社川にかけて流れる豊富な水に恵まれており、水はけのよい圃場が広がっています。上流は県の自然公園にも指定されているほど緑に囲まれた渓谷となっており、古くからの温泉もあるのどかな地域です。タオル製造などの産業も盛んなためか、農業については大人数で大規模生産といった形はあまり見られず、個性的で志を強く持った生産者が、限られた規模でも生き残れる農業をしっかり作り上げてきたという印象です。
桑田さんが興味本位で作った「甘とう美人」は、地域の貴重な戦力として育ちました。関西方面での感触が良いことに加え、地元の産直市でもその味が徐々に評価され、「甘とう美人」として認知されるようになったことも、その実力を証明しています。
ピーマン系の栽培には珍しいハウスにより温度や土壌成分を可能な限り制御することで、長期出荷と品質の安定化が可能に。市場関係者からの厚い信頼を得て、さらに広く全国へ飛び出していくことでしょう。

30トンに近い出荷量。ピーク時は防除、収穫作業ともに忙しく、集荷場もフル回転となります。 ふっくらと細長く、30~40gにもなる大きな果実が特徴。あまりクネクネと凹凸やねじれのないものが良品。 地元客で賑わう産直市場では、すぐに売り場が空になってしまうほどの人気商品。食べ方のバリエも豊富。
もっと美味しく!食財メモ

甘とう美人は、見た目よりも果肉が柔らかく歯切れが良いのが身上です。爽やかな風味がある割にピーマンやししとうのような辛味や苦味が少ないため、年代を問わず食べやすいことが人気の秘密。バーベキューや炒め煮が一般的ですが、中にチーズなどを詰めてグリルしても美味。フレッシュな香りと食感を生かすため、生のまま細切りしてサラダのトッピングにすると思わぬアクセントになって好評です。
ページトップへ戻る
Copyright (c) 2010 Ehime prefecture. All rights reserved.