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えひめ中央農業協同組合 唐川びわ

優しい木の実の歴史を守り、丹精こめて手がける誇りと喜び。

旬を感じる、いまや貴重なフルーツ。日本一遅い出荷の唐川のびわ。

「びわは優しい木の実だから」
童謡にも歌われるおなじみのフルーツ「びわ」は、中国原産ではありますがわれわれ日本人にとってはどこか郷愁を誘う果物です。しかし、全国の生産量を合わせても約1万トンほどしかなく、実は年々栽培規模が縮小されています。びわを知らない人はいなくても、びわを食べない人が多くなっているのが現状なのです。
「びわは一年中食べられるわけじゃない。美味しい時期はほんのわずかしかない。びわを見たら、夏が来たな~と感じるでしょ?」
四国の産地としては有数の伊予市唐川地区で、30年間びわ作りを続けている山崎さんは、びわの魅力をこう語ります。野菜果物が「旬をまったく感じなくなった」と言われる中で、確かに明確な旬を感じる、数少ない果物のひとつと言えます。
部会員数約200名、栽培面積は60ヘクタールというここ唐川地区は、知る人ぞ知る「日本で最も出荷が遅いびわ産地」なのです。

山間部がほとんどびわの樹で埋め尽くされている光景は圧巻。

びわは古くから野生種が分布していたと言われますが、嗜好性の強いフルーツとして本格的な栽培が始まったのは江戸末期。200年ほど前の伊予大洲藩は木蝋の原料でもあり飢救作物としてのハゼノキ栽培を推奨していましたが、果実だけでなく、種や葉、樹皮など民間薬としての利用価値が高かったびわの導入を進めたと考えられています。
明治36年に晩生品種の代表格「田中種」が導入されてからは、それまでの多品種栽培を徐々に一本化し、無理なくじっくりと育てた良質な田中びわを出荷する「日本一出荷が遅い産地」として知られるように。田中びわは愛媛の温暖な気候に合っており、大玉で品質が安定していることでも人気です。
ひとたび唐川の山間部の生産エリアへ踏み込むと、あたり一面がびわの樹だらけ。ほとんどが不安定な傾斜地で、2メートルを越す大きなびわの樹々が伊予灘を臨んでいます。よく見ると、どの果実にも無数の袋かけがなされており、山の頂上から裾野までと考えるとその量は膨大なものに。これら全てが、まさかの手作業なのです。

すべての工程が「人の手」によるもの。人の手がその価値を作りあげる。

びわは3~4月に袋かけを行いますが、時期が早すぎると実が落ちてしまい、遅いと太りが悪いためにその見極めは重要。果房全体を覆ってしまうと実が小さくなるため、厳選した「一粒」だけに袋かけします。転落しそうな急勾配での手作業は想像を絶する時間と労力を費やしますが、長い栽培の歴史の中では当たり前に行われてきたこと。「かけた手間が全て価値になるんよ」とは山崎さんの言葉です。
袋で覆われた状態で収穫をするため、みかんのように色を見てタイミングを計ることはできません。追熟しないびわは収穫時期が品質を左右する最重要ポイントですが、長年の勘に基づいて行うというから驚き。葉や指が触れることで果皮の産毛がなくなってしまうと商品価値がなくなるため、収穫、選果、パック詰めという全ての手作業は迅速かつ細心の注意を払って進められています。
びわの樹は寿命が長く、病害虫に対する防除も不要といわれる「強い果樹」です。しかしその果実はデリケートな繭玉のように扱われ、夏の到来を知らせる使者として華やかに旅立っているのです。

 

幼い頃から初夏の風物詩的に唐川びわを食べてきた私にとって、「びわを食べずに過ごす人が少なくない」という言葉は正直驚きでした。県外出身者に確かめてみると、「見たことはあるが食べたことがない」「スーパーに置いてあった記憶がない」という声が次々と。旬が短いだけでも希少なのに、全国的に産地が縮小傾向にあることを改めて実感することとなりました。
びわは果実を楽しむだけでなく、古くから種や葉などの薬効効果が認められています。えひめ中央で加工される「びわ葉茶」は、その効能だけでなく冷やすと透き通ったロゼカラーが美しいと評判です。ほぼ無農薬栽培とはいえ、膨大な数の袋かけや整枝作業の負担は高齢化する産地には厳しいもの。歴史の中で「ブランド」を確立してきた由緒ある産地を、何とか残したいと強く願っています。

人の手による袋かけは欠かすことのできない重要な作業。高樹齢樹には梯子をかけての大掛かりな仕事となります。 200年前から野生びわが栽培されていた唐川地区。現存する最も古い樹といわれる100年樹がこれ。圧巻です。 収穫は細心の注意を払って行われます。産毛を損なわないよう、袋ごと切り取り、擦れ合わないように選果。
もっと美味しく!食財メモ

びわは抗酸化力の強いβカロテンが豊富で、健康維持や老化防止に嬉しいフルーツです。
収穫後にほとんど追熟しない果物ですから鮮度のあるうちに食べるのがベスト。長期の保存には向きませんが、簡単なコンポートにするもの一案。それぞれ同量の水、ワイン、砂糖にレモン汁を加えて煮るだけ。赤ワインを使えばこんなに鮮やかなデザートに変身します。マスカルポーネチーズとの相性も抜群。
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