新着食財情報

新城生産組合 豆道楽豆腐

TEL:0894-62-1022

本物を作ることができる農家が生き残っていくためのシステムを作る男

農業で飯を食えるようにするためのシステム作りをスタート

「ここは愛媛県で一番ちっちゃな豆腐屋ですが、よく売れてます。」
朝の忙しい作業を終えて、一息つきながらこう話してくれた渡邊さん。新城地区で大豆製品の製造販売を行う農業法人を運営しながら、地元の農産物販売所の代表も務める多忙な毎日ですが、「今は地域が力をつける好機だ」と笑います。
もともといちご作りの名人として知られた渡邊さんは、直売所に本物の野菜が集まらなくなったことに不安を覚えます。「なぜ農業で食べていけないのか」と言う疑問を解決すべく、12年前に集落営農を見据えた生産組合を設立。地元に根付いていた小麦と米、大豆を栽培し始めましたが、視察に行った飛騨高山で農産物加工品を販売する市が賑わう様子を目の当たりにします。そこで初めて「手を加えて売ることが農業のゴールだ」と感じ、加工販売をスタートさせました。小麦を使ったパン作りも手軽でしたが、日本人にとっては大豆の方が馴染み深く、もともと栽培の適地でもあったことから、10年前から「豆腐作り」を開始。
「集落が力をつけるためには、豆腐作りが最適だと確信したからです。」

みんなが忘れていた、あの豆腐の味を求めて

日本全国20箇所以上の豆腐作りを視察する中で、広島県で唯一環境の似た現場のおいしい豆腐に出会い、試作を重ねました。「当時は安売り品ばかりで、何もかもまずいと感じていました。」みんなが忘れていた昔ながらのおいしい豆腐の味を思い出しながら、本物の豆腐を作ろう、と集まったメンバーの意識が徐々に高まってくるのを感じたと言います。
昔の農家はただものを作るだけではなく、加工するのが当たり前だった。ならば原料を上手に作ることが農家の原点なのではないか。そう考えた時、農業に自信が持て、なおかつ雇用も生まれる「豆腐作り」こそが、集落活性化の起爆剤になると思いついたのだそう。
「原料から自分たちで栽培することは、お客さんに安心感を与えることができるメリットと同時に、大きな責任を持つことになりますからね。リーダーがうまくみんなを引っ張ってくれて、どんどんその気になってきた頃から、勝算を実感しました。」
昔ながらの石臼に近い大豆の挽き方で、細かさ、加熱の具合を全て人の手で調整しているところも独自のこだわり。

工場長も大豆生産者。素材の良し悪しがわかるから妥協ができない。

豆道楽の豆腐は、価格重視のスーパー等へは一切卸しておらず、道後温泉の有名ホテルやレストランなど、「ポリシーが伝わる相手にしか使って欲しくない」という思いとともに世に出ています。大豆があったから豆腐を作ったのではなく、美味しい豆腐を作るための大豆作りをしているところが重要で、「ゴールを見据えた農業は明るい」という渡邊さん。「工場長以下、みんな生産者。できの悪い大豆を作ってしまった時の現場の緊張感が、次へのステップになるんですよ。」
大豆を煮ている段階で「これはまずい」と感じたら、その都度ストップをかけたり調整を加えることができる体制は、素材に目が利く生産者集団だからこそ。「大手の工場ではまず無理でしょうね。」
本物を作れる農家が減ることは、地域を支える根底が崩れること。本物を作ってみんなに喜んでもらえることこそ「百姓の力の見せ所」という渡邊さんは、集落と人々の未来を常に見つめる設計者のような存在です。

生産者でもあり、豆腐工場も経営しつつ農産物販売所も管理という、何足もの草鞋を履く渡邊さんですが、だからこそ見える問題点と解決法がありました。大豆を作れば当然のように味噌や豆腐を作っていた昔を思えば、六次化などもはや誰もがチャレンジできること。しかし、農家が減り、地域が弱体化する現実を前に「なんとかせないかん」という空気を常に作っておかなければ、という前向きな姿勢が、豆腐作りを成功を導いたのかもしれません。
集落全体で取り組む大豆栽培は15ha。地元の畜産業界と連携した飼料米の栽培も積極的に規模を拡大しており、農業全体の未来を立て直したいと考える渡邊さん。「イベントで人を集めるのはもう終わり。本物で人を呼びたいんです。」強い農家が生きる、強い集落がここにありました。

昔から大豆栽培の適地ながらも産地形成はされていなかった新城地区。夏には一面の大豆畑! 朝4時半から昼までに10回ほど繰り返す同じ行程。しかしその都度調整が必要なのが手作り。 手作りならではの人気商品。カリッと揚がった食感と、甘く柔らかな大豆の豊かな香りが最高!
もっと美味しく!食財メモ

豆道楽の隠れた人気商品、豆乳。すぐそばの畑で採れた大豆という価値観だけでなく、実際に豊かな風味は一度飲んだら忘れられないほどの味わい。
実は豆乳を搾った後の「おから」も人気で、実際にできたてを口にしたところ、あまりの甘さに驚愕しました。沸点が下がることでビタミンなどの成分の破壊が少ない「減圧乾燥法」で加工した「おからパウダー」も引っ張りだこだそう。
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