新着食財情報

西村農園 津和地玉ねぎ

FAX:089-999-0830

50年の歴史を誇る玉ねぎの島。昭和がそのまま残る中島・津和地のめぐみ。

1月から出荷可能な玉ねぎ。ハウスでもセットでもない普通作という驚き。

松山市沖の西瀬戸内海に浮かぶ、中島、そして中島を囲むように点在する怱那諸島。市内中心部から車で30分、高浜港から出るフェリーで約2時間(高速艇では1時間)の沖にあるのが津和地(つわじ)島です。昭和の長閑な風景があちこちに残る、人口400人ほどのこの静かな町に、往復4時間かけて大型のトラックが頻繁にやってきます。地元大手スーパーの仕入れ用トラックで、積み込むのは全て玉ねぎ。津和地は知る人ぞ知る、玉ねぎの島なのです。
昭和30年代前半に県の指導で麦の代替として導入され、みかんを植えることもできないような砂地畑が活用されました。ちょうど洋食文化が一般家庭にも浸透し始めた頃で、非常に高値で取引されたと言います。当時は14~5軒の農家が取り組むのみでしたが、現在は島内全ての農家が玉ねぎを栽培しており、この小さな島での栽培総面積は25haを超えるまでに。ここ15年ほどは冬~春先の低温期に収穫される極早生玉ねぎにシフトされ、ハウスでもセットでもない貴重な露地普通作の珍しい産地として全国に知られているのです。

島の気象条件を最大限に活用。島ならではの独自の栽培管理技術の確立も

傾斜のある段畑には重機が入らないため、今年、2反ものみかん山を全て手作業で抜根し玉ねぎ畑にしたという西村さんは、津和地の農業の歴史を見守ってきた存在。「伊予柑全盛の頃は少し減ったが、今では島の一大産業。冬の津和地は玉ねぎ一色よ。」
県外産地が驚くのが8月末に播種し9月に育苗できること。普通は残暑で苗が育たないか、種そのものが発芽しない時期ですが、海に囲まれた影響で最高気温が陸地ほど上がらないため。また逆に最低気温が氷点下にならず、真冬でも順調に生育するため、農薬の使用回数が極端に少ないこともメリット。極早生は地温を上げるためのマルチ栽培が一般的ですが、津和地は水はけのよい砂地土壌のため露地栽培が可能。島の気象条件を最大限に活用しています。
一方で50年の栽培史上、同じ条件や作型の産地がないために農協からの指導を受けず、全て農家が手探りで栽培管理技術を積み上げてきたため、各農家の微妙な勘が育ちました。「何より大変なのは収穫。畑の中を歩いて適熟をひとつづつ手で引き抜いて、鎌で葉と根を切り落とすんよ。機械も使えず一苦労やけど、硬くて甘い玉ねぎはこうせんと採れんから。」

春を呼ぶそらまめ。日本一早い出荷で高付加価値を狙う。

島のあちこちに点在する背の高い仕立て。津和地を代表するもうひとつの野菜、そらまめの畑です。玉ねぎと違い、過去この島でそらまめ栽培の歴史はありませんでした。柑橘の自由化からゆるやかに農家が野菜栽培へとシフトしてきた中で、高齢化する農家にとって作業しやすい「軽い」もので、この地に合った品目はないか、と模索され続けてきました。温暖な気候にぴったりなそらまめが、オクラなどとともに導入されたのは平成に入ってからで、13年には本格的に「津和地営農研究会」が立ち上がり、数軒の農家が栽培を始めました。
特長は樹の大きさ。県内ではそらまめは多く作られる野菜ですが、これほど大きく樹を育てる産地はなく、非常に珍しいかたちです。台に乗って収穫するほど大きな樹は180センチを越えるものも少なくなく、長い期間かけて樹がもつために収量が多くなるというメリットが。露地栽培では指宿よりも早く出荷可能と言われ、旬の走りを求める全国の料亭などで引っ張りだこ。近隣の島々へも波及し、島独自の付加価値創造が進んでいます。

 

人口400人ほどの小さな島が玉ねぎ一色で埋め尽くされることは意外にも知られておらず、地元のメディアでも取り上げられることは多くありません。安定収入確保のため、市場出荷から契約出荷へ早期に切り替えたことも理由のひとつ。今後はさらに出荷先が増えるとのことでした。
年間通して急激な温度変化が少ないという島独特の気候の良さはもちろんですが、実はそれよりも長い歴史の中で積み上げてきた栽培管理の技術が勝っているのだと実感できます。従来の指導法では上手くいかず、すべて自分達で研究し試行錯誤を重ねてきた実直さが、産地としての強みを作り上げてきたと言えます。
独特の食材も多く残る、食文化の宝庫・津和地。伝え残すべき、愛媛の「いいとこ」が凝縮された島です。

最盛期は週に3日集荷に来るという4トントラック。各農家の倉庫を順番に回ることも驚き。 無菌の砂を下に敷いたり後から撒くことで温度が下がりやすく虫がつきにくいという技術も確立。 市内と島を結ぶ唯一の交通機関。島内に中学校はなく、島の子供達は中島で寮生活を送ります。
もっと美味しく!食財メモ

砂地栽培では余分な肥料や水がすぐに地中に抜けるため、玉ねぎが必要な量だけを必要な時にこまめに与えるという作業が不可欠。ほんの一握りの肥料を何度も追肥するため、無駄な蓄積がなく味わいがすっきりと冴えています。スライスしただけの玉ねぎがこんなにも美味しいわけは、こうした日々の綿密な管理と、ひと玉づつ「農家の勘」で見極める「採り頃」が外れることがないからに他なりません。
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