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庄大根研究会 庄大根

TEL:089-993-2276

ふるさとの大切な伝統を、守り、育て、伝えるという使命。

希少品種・赤首大根が危ない!!

合併により現在は松山市となりましたが、美しい海岸と山々に囲まれたその環境からちょっとしたリゾート感が漂う町、「北条」。
旧北条市の庄(しょう)地区で、古くから作られていた大根がありました。その歴史は150年を上回り、地域をごくごく限定して栽培された在来の「地野菜」でした。
地名に由来して「庄大根」、また3月まで収穫できることから「三月大根」とも呼ばれたその大型の大根は、目にも鮮やかな赤紫色。希少な「赤首大根」でしたが、長年の間繰り返されてきた自家採種によって、急速に普及した「青首大根」などとの自然交雑が起きてしまったことで、形質が大きく変化してしまいました。
庄大根本来の特性が失われてしまい、このままでは大切な在来種が消失してしまう!という危機を感じた地元の農家たちが県の農業試験場に依頼し、昭和57年から選抜採種をスタート。平成6年に本来の庄大根の性質をもった種を手に入れることに成功しました。
愛媛県の「伝統野菜」が失われていたかもしれない大変な危機を、農家と行政とのタッグで救うことができたのです。

見守り、伝える美しき女性たち。

復活した庄大根を守るため、地元農家によって平成8年「赤首だいこんを保存する会」(翌年「庄だいこん研究会」へ)が発足しました。現在、その中心メンバーとして活動しているのが、坂本さんを含む5人の女性たち。皆さん、地元特産の伊予柑等の生産者です。
忙しい農作業の合間を縫って、庄大根の管理や直売所への出荷、取材対応などを行っています。
「普通の大根は8月ごろから10月ごろにかけて、いつ種を蒔いてもどんどん育つけど、庄大根はデリケートやから種蒔きの時期も限られてるんです。今はエコ栽培(化学合成農薬・化学肥料を県が定めた基準から5割~3割以上削減して行う栽培)をやっているから、日々の管理も大変です。」
気温・地温の変化も見ながら、日々大切に大切に庄大根の世話をする彼女達のグループ名「アバターレ」とは、イタリア語で「見守る」という意味があるそうです。優しいお母さんの眼差しは、まさに地域の宝を見守っています。

これが庄大根の神秘。天然の桜色に染まるお漬物が人気。

皮が赤紫色の庄大根ですが、中身は純白。
皮を剥いてしまうと、見た目は普通の大根と変わらなくなってしまいますが、その皮の色素を利用した漬物が人気です。
皮に柑橘果汁と酢を加えることで美しい緋色に発色するため、真っ白な大根がほんのりと桜色に染まるというわけ。自然の色とは思えない、華やかな彩りになります。
もともと普通の大根に比べて、圧倒的に緻密な肉質なので、サラダや漬物にすると「パリパリ・コリコリ」とした心地よい食感が楽しめます。
水分量も少ないため、大根おろしにするとふわふわに仕上がり、いつもの大根おろしとは一味違ったものに。皮ごとおろしてレモン果汁を加えると、大根おろしももちろんピンクに染まります。
一方で、熱を加えるとすぐに柔らかくなり、繊維が細かいために煮溶けてしまうこともあります。おでんなどの煮物には、最後にさっと加えるだけで味がしみるという優れもの。
とにかく重量級の大型の大根ですので、いろいろな食べ方を試してみるのがおすすめです。

家庭菜園のような形で家族が食べる程度の野菜を作っている農家は多いものです。庄大根も、そうして地域のいたるところで作られていた野菜でしたが、長い歴史の中でその本来の姿をまさに失ってしまうところでした。
自家採種で作り継ぐこと自体が少なくなってきたせいでもあると思いますが、自然交雑で種が変異する、ということが身近に起こっていたというのが素直な驚きです。
選抜中はハウスに隔離されて栽培されました。庄大根の周り100メートル圏内に青首など他の品種があると、交雑が起きてしまうということで、慎重な作業が続いたのだとか。
また、株そのものが大型である上に葉っぱが旺盛に広がるため、植え付けの際の株間を広めに取る必要があります。作業の効率は落ち、収量も限られますが、そのあたりの「手のかかり具合」が、伝統野菜らしくて面白いものです。

庄大根の断面はご覧のとおり。きめ細かな肉質で、真っ白。ほんのり甘く香る大根の香りも、嫌味がない。 普通の青首大根に比べて、旺盛な葉っぱ。大きく広がって、大根を覆うように繁る葉姿は特徴的です。 平均的なもので約2kgもある大型で、先太りの独特な形です。手作業での収穫も大変な重労働。
もっと美味しく!食財メモ

1月に庄地区にある十輪寺で行われる「どんど焼き」。訪れる地域の人々に振舞われるのが、この「庄大根のふろふき」です。
坂本さん達が作った柚味噌とあつあつの大根の相性は抜群。すっかり温まります。
庄大根は水分が少なく固めの肉質ですが、加熱するとすぐ柔らかくなりもっちりとした食感に。さらに暖かくなってもスが入りにくく味も落ちません。150年前から息づく地野菜の「底力」を持った、味わい深い大根です。
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