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梶原農園 レッドパール

「時代遅れと笑われてもいい」ふるさとの味を守る孤高の職人

地元宇和島で誕生した「レッドパール」。これが僕のイチゴです。

大学時代は農業以外の道を考えていたという梶原さんですが、当時はいわゆる就職氷河期。ご両親のお手伝いからスタートした農業後継者としての生活も、12年が過ぎました。
地元宇和島でイチゴといえばこの「レッドパール」。宇和島市三間の西田氏が育成した品種で、大玉でさっぱりとした甘さが圧倒的に支持されました。
平成5年の品種登録後すぐにレッドパール栽培を始めたご両親から、約1反の畑を任されるようになって8年。梶原さんは「ある大胆な挑戦」をすることを決意したのです。
数ある野菜の中でもイチゴほど消毒が必要なものは稀で、当時の梶原さんも他の農家同様に農薬を使った消毒を繰り返していました。
「正直、自分の作ったイチゴを食べたくありませんでしたよ。」
そんな思いから少しずつ農薬の使用量を減らしていた時、地元の後継者の先輩が「自然農法」でレッドパールを作っていると聞き、食べさせてもらったところ、とてつもなく大きな衝撃を受けたそうです。
「農薬も肥料も使っていないイチゴは、こんな味がするものなのか!」

イチゴ作りの常識がひっくり返る?!「無農薬・無肥料」「不耕起」という考え方。

そのイチゴは、甘い・甘くないのレベルではなく、あまりにも純粋な味。当たり前だと思っていた嫌な匂いが全くなく、すっと身体に入り込む鮮烈な味だったそうです。
「自分もこんなイチゴが作ってみたい!」という憧れをすぐに実行に移しますが、「無肥料・無農薬」という理念を簡単に実践できるはずもありません。自分の作るイチゴにどうあてはめていくか、試行錯誤は何年も続きました。
無農薬で苗を守るため、土台である土を大事にしようと、草を刈らず、土を耕すこともしない「不耕起」を推進しました。土を耕せば、少なからず土中の微生物層が破壊されます。ホルモンバランスが崩れ、肥料や農薬に頼らざるを得ない状態となります。一方土を耕さないで年々重なる土層には無数の虫が生息し、土中に自然界の抜け道が作られることで水はけの良い健康な土となるのだとか。
マルチシートの下は枯れた草と虫と硬い土だけ。農薬不使用の一年目には畑の半数以上の芽が虫に食べられたと言いますが、翌年以降、被害は減り、今では全く無害なのだとか。俄かには信じがたいことですが、現実に畑の中には健康な葉が茂っているではありませんか。

憧れが自分のものに。「自分でも不思議なんです(笑)」

飽食の時代。人間は多くの慢性的な病に冒されていますが、それは野菜も同じこと。「虫は病んだ野菜に寄ってくる」と梶原さんは言います。「虫は余分なものを食べて浄化をしてくれる。自然な形で無害に戻してくれているんじゃないかと。イチゴに慢性病がなくなって、虫は用事がなくなったんじゃないかな。」年々葉の色艶が良くなり、果形も美しく大きくなってきたのだそうです。
全く農薬を使わないことで、おそらく何らかの病害菌は生息しているはずですが、土と株そのものが健康であるために発症せず、無肥料による窒素不足も自力でリカバリーしているとしか思えません。
苗すらこのハウス内で無肥料のまま採取するそうで、何故こんなに健康で大きな実がつくのか不思議!と言うと「僕もです。」と笑う梶原さん。
時代の流れとは大きく外れたように見える品種選びと栽培方法。しかし、地元の品種を絶やしたくないという思いと、環境への負荷軽減という理念は未来への静かな、そして確かな一歩に他なりません。
京野菜などの「在来種」への憧れも強いという梶原さん。愛媛のふるさとの味を守り育てるという大仕事を、きっとやり遂げてくれることでしょう。

とにかく「なぜ?」の連呼でした。そもそもイチゴが本当に無農薬で作れるの?堆肥も肥料も一切無しでこんな大玉果が育つの?と、あまりにも常識外の状況に唖然としました。
でも全て事実。目の前には旺盛なイチゴの株がずらりと並んでいるのですから、不耕起の力に驚くばかりです。
レッドパールはその名の通り赤色が美しく、程よい酸味がさわやかな後口で清清しいのが魅力。梶原さん曰く「清涼感」がウリなのだとか。幼い頃から慣れ親しんだレッドパールを、自分なりの作り方で旅立たせることに、大きなやりがいを感じているようでした。
実は新婚ホヤホヤ♪の梶原さん、先日奥様から「衝撃の告白」を受けたのだとか。それは「ずっと言えなかったけど、私はあまりイチゴが好きじゃない。」というショッキングな一言・・。心の傷はこのハウスのイチゴたちが癒してくれたのだそうです。
・・が、が、頑張れ!孤高のイチゴ職人よ!最愛の奥様に認めてもらえるその日まで。(なぜか、笑いが止まらない・・。)

枯れた草をめくると、団子虫ほか大量の虫が!この虫達によって「団粒化」された土がイチゴ苗を支えています。 低温で味を乗せようと試みた際、病害が発生した経験から、最も気温が下がるハウスの両端をガード&バリア。 どう考えても「もう一畝できるだろ」という、広々とした畝間隔。収量を追わないことも味をキープするポイント!
もっと美味しく!食財メモ

ハウスの外で、雨避けだけで寒締め栽培されている「あまおとめ」。愛媛の新品種いちごですが、色つきが淡くなるため梶原さんは「雪いちご」と名づけて販売しています。
寒締めすることで食感が絞まり、糖が上がることで蜜のような味わいが生まれます。
京都の専門店で高い評価を得ている梶原さんのいちごたち。注目必至です。
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