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株式会社誠実村 さといも

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産地再生をかけ、故郷大洲の農業に元気を取り戻したいと願う男

愛媛県大洲市新谷 株式会社誠実村 代表取締役 原田 浩 さん

大洲のサトイモが美味しい、意外なワケ。

「伊予の小京都」といわれる大洲市は、山々に囲まれた広い盆地。市内を流れる美しい肱川とそれを見下ろす大洲城が、ゆったりした時の流れを感じさせてくれます。
しかし、大洲の歴史は「肱川の氾濫」の歴史でもありました。河川流域だけでなく、南予一帯の農業を支えてきた肱川の水は、過去の自然災害で幾度となく暴れだし、甚大な被害を生み出してきたのです。水害の度に水没し、流出した大量の川砂が堆積した土地では、米を育てることができませんでした。
ところが、その水はけの良い砂地だからこそ採れる、美味しい野菜が根付いたのです。それこそが「大洲のサトイモ」です。
他産地では水田を利用して栽培されることの多いサトイモですが、砂の上で作ることで身が詰まり、トロリとした食感の極上の仕上がりになるのだといいます。
大洲には河川敷で芋煮を楽しむ「いもたき」の風習があり、大洲の人間はわずか3ヶ月ほどのいもたきシーズン中に、最低8回は大勢で鍋を囲むと言われるほどサトイモをこよなく愛しているのだそうです。

こんにゃく製造会社がサトイモを作る、意外なワケ。

大洲の大きな農家に生まれた原田社長は、大学で経営を学び、その後は営業一筋。1987年にこんにゃくの製造から販売までを手がける「誠実村」を自ら興します。安定した業績を伸ばす中、2008年に「農業生産法人格」を取得して農業の世界に新規参入。
一体なぜ?
「きっかけはお客様の声」と社長。
「大洲の里芋は美味しいから、こんにゃくと一緒に持ってきて売ってよ」と言われ、それならばと探してみるも、地元で消費されるだけの量しか栽培されてないことがわかりました。作った芋を全部食べてしまうとは、さすがサトイモ好きの大洲人!
しかし、新たに生産拡大を依頼しても、年々生産者は減る一方。
農家の高齢化も深刻であるという現実に気付かされたのです。
「このままでは大洲のサトイモの未来はない」という危機感から、社を揚げて「サトイモ栽培」に取り組むことになったのです。
もちろん、衰退を続けてきた農業の振興に立ち向かうには様々な試練がありますが、収穫の大規模な機械化や地元農家の知恵を借りるなどして、ふるさとの再生をかけた新たなチャレンジは今も続いています。

「消費者に選ばれること」がゴールなのは、農業だって同じはず。

法人として農業の世界に飛び込んだ原田社長には、サトイモの未来だけでなく大洲の農業全体を元気にしたいという思いがあります。
「作ったものを買ってもらって利益を上げることは、我々メーカーも農家も同じ。ならば、どうすれば消費者に選ばれるものになるのか、と考えるのは当たり前でしょ。」
誠実村ではお客様のニーズを敏感に読み取り、その希望に沿った商品作りを心がけたことで多くの販売先からの信頼を集めてきました。変化し続ける食環境にも常にアンテナを張り、多彩なラインナップを生んでいます。
ただ作って終わり、の農業ではつまらない。何を求められているのかを意識することで「儲かって良かった」「喜ばれて嬉しい」というやりがいが生まれてくるのだと言います。農家がプライドを取り戻し、「農業は楽しい」と笑える日が必ずやってくると、原田社長は確信しています。

サトイモの品種は意外に多く、収量が多いもの、煮物に向くもの、ホクホク感が持ち味のものなど様々。その中でも大洲の芋炊きに使う芋は、とろけるような柔らかい食感(でも煮溶けてしまってはダメ)が求められ、その独特の粘りは市外の人間からも広く支持されています。この地で古くから作られてきた品種「女早生」にこだわり、若採りの美味しい時期だけに限定して出荷をしています。
また、圃場はこの地区でも特に水はけが良く、絶対に美味しい芋が採れるといわれる菅田地区・村島地区を選んでいます。
そして、誠実村のサトイモを手がけるのは大洲では知らぬ者はいないほどの二人の達人。矢野さんは大洲を支えた養蚕業の牽引者で、サトイモだけでなくサツマイモを作らせても絶品なんだとか。水本さんが独自に改良した芋掘り機・芋の皮剥き機・選別機などにより、作業の省力化・効率アップ化が実現しました。「産地の高齢化」って本当なの?と思うくらいのパワフルな戦力なのです。

矢野利之さん(68)
愛媛で5本の指に入る養蚕のプロ。芋作りにおいても生き字引的存在。
水本公三さん(57)
大規模畜産業の経験から超大型機械を自由に操り、修理・改造もお任せ。
超若採りのサトイモ。澄んだ水と土の香りが混ざったような清々しい芳香。

県担当者メモ

誠実村は、営業担当者が的確に量販店や消費者のニーズを調査、把握したうえで、地元の立地条件にあった品目の栽培に取組んでいます。

現在、大洲名産のサトイモのほか、大洲特有の土壌条件等と利用したサツマイモ、白ネギ、コンニャク、もち米等の栽培に取組んでおり、国、県の農商工連携等の事業採択も受け、新たな生産方式、機械化による省力栽培にも、地元農家とともに取組んでいます。
特に、原田社長自らが農作業を実践し、生産現場を熟知することにより、食品加工技術や営業ノウハウが農業生産と直接結びつき、より効率的で新しい農業経営が実現しており、地域の活性化にもつながる新たな経営モデルとして県下でも注目されています。(大洲農業指導班)

写真の説明:
サトイモの植付け、土寄せ、掘り取り等は専用の機械が導入されており、省力化が図られています。

もっと美味しく!食財メモ

大洲が発祥といわれる愛媛の郷土料理「いもたき」。
初秋の河川敷で大鍋を囲み、豊作を祈願したと言われるこの風習のルーツは、300年以上前の藩政時代に遡ります。戦国時代終盤、宇和島藩主となった伊達政宗の弟が仙台からの大名行列の途中、肱川の河原で休憩し、芋の入った汁鍋を囲んだことで根付いたとか。その汁鍋とはもちろん、山形の「芋煮」!本家「芋煮」は味噌ダシに牛肉ですが、大洲は鮎ダシに鶏肉が主流。あっさりとして滋味深い味わいもいいですよ。
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