上島町魚島

明治35年頃には、約4万匹の鯛が捕れたといわれ、吉田磯に記念碑が建っています。鯛が腹を返して海上に浮かんだ上に、漁師がこもを敷いて酒盛りをしたとも記録されています。捕れた鯛は、尾道や福島、大阪に運搬して販売されました。潮の流れに逆らわなければ行けなかったため、今治にここの鯛は出回りませんでした。


松山市北条

米の上にコンブを敷き、鯛を丸ごと一匹のせて炊き上げ、鯛飯をつくります。ウロコと内臓、エラを取って表と裏に切れ目を入れ、炊けたら鯛の骨を取って身をほぐし、ご飯と混ぜ合わせます。醤油の味付けが肝心であり、その香ばしさと潮の香り、柔らかいホクホクの身が魅力です。他に、一番脂の乗り切った冬場の刺身や活き造り、骨蒸し、あら炊き、塩焼きなど、この地方には季節ごとの豊かな鯛の楽しみ方があります。


松山市北条

宝楽焼き(ほうろく焼き)は、北条では「宝来焼き」と呼ばれ、鹿島の祭礼の時に行われる「櫂練り」の音頭にちなむといいます。鯛、クルマエビ、サザエ、アワビ、カニ、イカ、アジなどの新鮮な魚介類を、塩を敷いたホウロク鍋に並べてフタをし、約一時間蒸し焼きにします。


松山市

大晦日の夜である「年の夜」には、聖護院ダイコンとゴボウ、結びコンブ、焼き豆腐の煮物に素焼きナルト、尾頭付きの鯛の焼き魚を食べます。


松山市中島町

正月二日に漁に出ることを「のりぞめ」といい、その日に鯛がかかるとことのほかめでたいと喜ばれます。梅雨の時期に捕れた鯛は、淡路島から来た専用の運搬船に積んで阪神方面へ運んだといいます。


東温市重信

正月のために、鯛をつけワラを太くねじった「おかざり」を神棚と大黒に飾ります。


伊予市下灘

4〜6月が下灘の鯛漁のシーズンで、7月になると三崎の方へ鯛を追っていったといいます。


大洲市長浜

仲人をたて結婚がまとまると、酒一升と鯛二尾を嫁方へ持って行きます。


伊方町瀬戸

本厄のときは、厄年の人を招待し、鯛の活き造りがふるまわれます。


八幡浜市真穴

ひな祭りの4月2日の夕方には、親戚縁者が招かれて祝いの酒を飲みかわしながら、女の子の成長と幸せを願います。その際、新鮮な鯛、イセエビ、アワビ、サザエなどが供せられます。


西予市宇和

正月三が日は、豆腐のみそ汁、鯛の刺身、ダイコン・芋・ゴボウ・コンニャク・アラの煮付け、ご飯、奈良漬けが代表的な夕食の料理内容です。


宇和島市

祭料理の鉢盛料理の主役は「たいめん」です。そうめんを波状に丸めて並べ、鯛をその上に盛りつけて、松などをあしらいます。小皿にそうめん、鯛の身、ネギなどを取り分け、鯛の煮汁をかけて食べます。


愛南町一本松

鯛の刺身などを鉢盛りにするサワチ料理は、ハレの日の客料理として昭和40年頃まで家庭でつくられていました。サワチ料理にはイケモリとモリゴミがあり、イケモリは鯛の活け造りを皿に盛ったものをいいます。


Copyright えひめ愛フード推進機構 All Right Reserved.