リアス式海岸が続く南予地方の宇和湾に面した宇和島市吉田町に「愛鯛」で知られるネオメイト会があります。「愛鯛」という商品名は、愛媛県産の良質な真鯛と「逢いたい」をかけて、皆様に愛されたいという願いを込めて名づけられました。
 ネオメイトの岡山万造会長は、「多くの人に愛され、食べてもらえる日本一愛される鯛を育てていきたい。安心・安全を基調に育てられる、おいしくて適正な価格の鯛を消費者の皆さんに届ける努力を続けていく」とのこと。
 おいしい鯛を育てるためには、すべてに気を配らなければなりませんが、特に力を入れているのが「愛鯛」のためだけに造られた専用飼料です。ビタミンやミネラルを独自の割合で配合し、鯛の健康や成長、肉質の向上に最高の餌を追求しています。愛媛県の中でも太平洋に近く、黒潮が流れ込む宇和海の環境は、飼育環境に優れた豊かな漁場です。
 「愛鯛」を飼育する専用生け簀では、収容密度を従来のものより下げて育て、鯛の健康とストレスの軽減が図られています。愛鯛を育てる漁場環境にも、「一級河川から10km以上離れている」などの独自基準を設け、漁場環境の向上にも努めています。言い換えれば、「愛鯛」はアパートではなく、マンション住まいの鯛というわけです。
 鯛を育てるための条件は「鯛が主役の飼育」ということ。決して無理をせず、魚が宇和海の環境のなかで大きく育つことを手伝います。まじめに育てられた鯛は、愛媛みかんのように「まじめな鯛」。おいしさが際立つのは、食卓で主役になるように育てられたためでもあるのです。

 鯛の生産量「日本一」を誇る愛媛県にあって「本当にうまい養殖真鯛をつくろう」を合い言葉に、漁協の枠を越えて集まったのがネオメイト会です。「ネオメイト」の名前は、県内屈指のこだわりを持った養殖鯛と愛媛県漁連のよりよい関係を示す「新しい友だち」という意味を持っています。
 ネオメイト会が育てる「愛鯛」は、「味」「歯ごたえ」「身質」「栄養」「鮮度の持続」「生産管理」「トレーサビリティシステムの確立」「漁場環境」「飼育環境」「独自配合の専用飼料」「出荷1ロットごとの厳しい肉質検査」「HACCP認定の加工工場」など、最高品質にこだわって会員の皆さんの日々の努力と情熱によって育てられます。
 「愛鯛」は、ごく少数の人が口にする稀少価値を持つ鯛ではなく、多くの消費者の方々に「おいしい」とよろこんでいただける安定供給の鯛。おいしさと安心安全を重ね持つ鯛なのです。

 ネオメイト会では、独自の厳しい生産管理基準を設け、所定の管理日誌を漁連に提出し、インターネット上でトレーサビリティーを公開しています。毎月1回、生産者と漁連担当者、資料開発の技術者などによる会合を持ち、成育状況など相互に情報交換を行い現状の把握に取り組んでいます。出荷数は1ロットごとの肉質検査を出荷予定日の10日前から行い、24時間および48時間の冷蔵保存でドリップの有無や食味のチェックをし、ドリップが出た場合、そのロットは出荷を見送ります。
 また、「愛鯛」の加工を行う愛媛県漁連の加工工場はHACCP認定工場です。


 「愛鯛」の生産者グループ・ネオメイト会の漁場は7地区、北は八幡浜から南は愛南町まで、およそ50km以上におよびます。そのため、産卵期は最大2ヶ月ずれます。おいしい鯛をお届けするため、産卵期の身質の低下などの影響を受けることなく1年を通しての安定供給が可能にしたいと考えから、こうした地域ごとの飼育が行われています。安心安全でおいしい鯛をお届けするには、稚魚の導入から出荷まで細かく管理することが必要だとネオメイト会は考えています。
 また、環境への負荷を減らすために、生け簀への行き来を小型電動漁船で行う試みなど、環境問題にも取り組んでいます。
 「餌にこだわり、鯛本来の持つ味わいをより高めたい。鯛を元気にすることは地域を元気にすること」と語る岡山会長。消費者のみなさまに最高品質の鯛を届けたいという思いが込められたネオメイト会の「愛鯛」は、これからも大きく進化していきそうです。

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